今回のお客様 歯科衛生士さんのぽよーよさん「ぽよーよ往診へ行く」

ハジメマシテ。ぽよーよといいます。

私が歯科の往診業務に携わるようになって、そろそろ1年9か月程になります。
「噛むこと、食べること」っていうのは、歯ぁがらみではごっつい基本的なことなので、 その患者さんの希望に添うような診療をどこまでできるかというのを、 往診業務に携わっていると常に試行錯誤する状態です。 (たぶん歯科以外の往診でもそうなんだと思いますが) 往診先の病院の訪問看護ステーションから紹介されたある在宅患者さんのときもそうでした。
そのおばあちゃんは息子さんと二人暮らしで、息子さんが強く歯科往診を希望されていました。
おばあちゃんは当時91歳の高齢で心臓病や気管支喘息があり、脳梗塞で倒れた後はほぼ寝たきり状態。
息子さん曰く、耳が遠く、発声する体力もなく会話はほぼ不可と。常に鼻に酸素チューブが入っていました。
口腔内は無歯顎で、上下fullの比較的新しい義歯を持っていましたが、入院などで使用しなくなりそのまま。 訪問看護ステーションの担当医の所見には固形物の嚥下は困難で、流動物の嚥下は可能というものでした。
息子さんはとても協力的で、おばあちゃんの体力がおちてきているので義歯を使用することで精神的、 体調的にも回復を望んでいるのが強く伺えました。
最初は体力的な面でとっても不安でしたが、歯科の往診が始まってみると、 第一印象とは異なり体調も安定していたので、咀嚼機能の回復を目標にまず義歯形態の修正、調整をしていきながら、様子をみていくこととなりました。
しかし下顎の顎底はつるつるで、舌もやや肥大気味、口輪筋の緊張もかなり強かったです。
下顎のみ新義歯の作製に入ることになったのですが、正常な咬合位置がこのおばあちゃんの場合分かりにくくて、咬合採得は非常に困難でした。
寝たきりの上に固形の食物を口から入れることを長期間行っていなかったために、 「かむ」という行為を忘れてしまったかのようでした。
それでも息子さんに早い段階で安定の得られた上顎義歯の着脱など、取り扱いや口腔清掃について説明し、 おばあちゃんにも伺う度に大声で治療について説明し、頑張って頂いてたのですが、往診が始まり1か月を過ぎたある日、 新義歯の装着を目前に体調を崩され、亡くなったのでした。
見知らぬ白衣の人間に最初は口腔内を見られることさえも嫌がっていたおばあちゃんが、
息子さんに励まされてやっと義歯を口の中に入れることに慣れかけてきた矢先であり、
息子さんにとっても私たちスタッフにとっても非常に残念な結果となってしまいました。
おばあちゃんに「かむ」という行為を思い出してもらい、咀嚼機能を回復させたいという息子さんの希望には添うことはできませんでした。
在宅さんの場合高齢の方が多く、このような容態の急変は珍しいことではないのです。
こうした在宅さんや病院、老人ホームなどに往診へ行く時、機材や道具を持ち込んで、ある程度までは院内診療と同じレベルの治療を行うことは可能です。
でも患者さんがどこまでの治療を希望されているのか、そしてこちら側としてどこまでの治療が可能か、
体調その他諸々の条件によって本っ当に様々な状況に直面します。
それに伴った患者さんとの信頼関係をどう築くかも大変です。これってきっと歯科のスタッフに関わらず同じですよね。
さらに往診にでると患者さん以外の、たとえば家族の方や看護婦さん、ヘルパーさんへのモチベーションについても、 頭抱えちゃうことが多いです。
これがうまくいくと治療後の日常の口腔ケアもかなり向上するんですよ。 などと、文字にすると歯科の往診ってものすごい大変そうな印象を受けられるかも知れな いですね。
現場はバタバタしてますけど、そんなに重ーい感じではないですよ。
私自身もまだまだ勉強不足を痛感しながら、明日も不肖私DHぽよーよは往診へ行きます。

文責 ぽよーよ

誤字脱字は代筆したTOMOKOの責任です・・・。