歯科関係者の方へ


症例3〜17才の男性〜

主訴
矯正専門医からペリオ治療を依頼され来院
口腔内所見
全体的に歯肉の発赤腫脹と6mm以上のポケットが認められます。 特に16に8mm、22が8mm、23が7mm、26が8mm存在していました。
X-P所見
著しい根吸収が認められ11、12は失活していました。

初診時

カウンセリングを行う際に、この患者さんに歯肉の出血が病的だという意識が欠如している事に気づき、 何故出血するかより、まず歯磨きによって出血が治まるという事だけを話し、 歯磨きに対し簡単な目的意識をもっていただく事から入りました。

IP終了時

2ヶ月後です。
治療と並行して行っていたブラッシング指導ですが、 テクニックも向上し、口腔内に対する関心も芽生え始めました。 そこで以前の状態と比較しながらペリオの説明をしました。

マルチ除去後

マルチブラケットも外れたので、本格的にP-curをしました。 元々深いポケット以外はすべて3mm以下になりましたが、 相変わらず、上の6番は両方とも6mmのポケットを残しています。
この頃になると患者さんにも歯肉を読みとる力が出てきて、 スライドを使っての説明も大分理解出来るようになってきたようでした。

メインテナンス

2年後です。 順調に歯肉が回復し、16にのみ6mmのポケットが残っています。
しかし写真でも少しわかるように、以前よりプラークコントロールにムラが出始めています。 話を聞くと、バイトが忙しいという答えが返ってきました。 今考えると、この時環境が変わった事も手伝いモチベーションが薄れ、ブラッシングの負担が増大していたのに 相違ありません。でも私はそれに気づかずモチベーションの強化を誘導するためのアプローチをせずに、テクニックだけのアドバイスしかしませんでした。 この後何回かキャンセルが続き、結局来院しなくなりました。

感想

実は、この患者さんからメインテナンスに入る頃、歯茎が良くなり人並みになったというかわいい手紙を頂いたのですが、 その中で「歯茎が腫れていた頃は、全然関係ないなって感じで過ごして来たし、写真とか見せられても余り分からなかったが、 今現在では、やっぱりあの頃は変だった」と記されています。
つまり今現在の状態を病的だとは認識出来ないが、今と比べて以前の状態は理解できるようです。 若年者ペリオだからといって特別ではありませんが、 経験と学習の不足から健康感そのもののレベルの低さはあると思います。 ですからそれに伴う認識する能力のレベルも考慮し、徐々に目標をあげるべく モチベーションの強化が必要になるのかもしれません。