前腕骨近位端骨折

基礎知識

X−P所見 橈骨粗面の位置

 

正面像

側面像

回外位

(回外筋・上腕二頭筋)

内側

前方

中間位

 

わずかに内側

見えない

回内位

(円回内筋・方形回内筋)

外側に大きく

後方

A 橈骨頭部骨折・橈骨頸部骨折

a.概要

橈骨近位端部骨折

頭部 成人に多い

頚部 児に多い(骨端線離開)

観血を要する骨折

小児骨折で徒手整復不能

成人骨折で転位著明

粉砕骨折、圧迫骨折(橈骨頭12以下)

小骨片が関節腔内に介在

陳旧性で伸展制限著明

 

角丸四角形吹き出し: 橈骨近位端部骨折⇒
肘関節の機能障害

b.発生機序

介達外力が主

肘伸展、手関節背屈で手を衝く外反ストレス

前腕回内位で手を衝く

c.骨片転位

Bakalim分類

頚部の傾斜角(O’brien分類)

T型

骨頭辺縁骨折 転位無

T型

30°未満

U型

骨頭辺縁骨折 下方転位

U型

30°60°

V型

粉砕骨折

V型

60°以上

W型

頚部骨折 転位無

 

X型

頚部骨折 側方転位

 

Fat pad sign

関節血腫があるとそれに押されて脂肪体が移動

前方脂肪体(鈎窩滑膜性関節包の間)

   後方脂肪体(肘頭窩内)

 

d.症状

捻挫と誤診しやすい

腫脹 関節内骨折関節血種

前腕の回旋制限

肘関節の屈伸制限(特に完全伸展時に激痛)

変形(肘は外反位)

e.整復法 

患者

助手

術者

背臥位

肘伸展

 

上腕固定

同側の手で手関節、反対の手で肘を把持し前腕を内転

十分な牽引のもと橈骨頭を上内側へ圧迫

次に前腕を回外し鋭角に屈曲

f.固定法

肘関節 90度屈曲

前腕  回外位 転位無・小児 2〜3W

       転位有・成人 3〜4W

g.後療法

副子除去後自動運動(肘関節屈伸・前腕回旋)

h.合併症

肘関節脱臼

上腕骨小頭(外顆)骨折

内側上顆骨折

肘内障 関節内遊離体

B 肘頭骨折

a.概要

成人>小児(上腕骨骨折)

側面像が重要

X−P所見  

骨端線(骨折と間違えやすい)

骨端核に注意

種子骨の存在(稀に肘蓋骨)

角丸四角形吹き出し: ♂10歳15〜17歳
♀ 8歳14〜15歳

b.発生機序

直達外力

転倒時に肘(屈曲位)を直撃粉砕骨折

介達外力

肘関節軽度屈曲上腕三頭筋の急激な収縮横・斜骨折

肘関節過伸展脱臼(前方脱臼)を伴う事あり上腕三頭筋=横・斜骨折

過伸展で肘頭と肘頭窩が激突

c.骨片転位

上腕三頭筋の牽引作用で上方に離開(1p以下が保存)延長転位

d.症状  確定診断

肘頭に圧痛

尺骨近位に段差(陥凹)を触れる

関節内骨折肘頭に関節血腫

肘関節伸展不能

 

角丸四角形吹き出し: 教科書では・・・
疼痛:限局性圧痛
腫脹:波動を触れる
陥凹の触知
変形:近位骨片後上方
運動障害:伸展障害

e.整復法

近位を遠位に合わせる(他:膝蓋骨骨折)

整復前に尺骨神経損傷チェック治療法選択

f.固定法

肘伸展(不良肢位)

前腕回外位

4W  自動伸展 肘関節45°まで

4W後 自動伸展 肘関節90°まで

6W後 自動伸展 肘関節100110°まで

g.後療法

1〜2W 再転位に注意

伸展動作は自動運動を中心

骨癒合 4〜6W

h.合併症

肘関節前方脱臼 輪状靱帯断裂 橈骨頭の離脱

尺骨神経麻痺

前腕骨骨幹部骨折

基礎知識

単独骨折神経麻痺は稀

両骨骨折神経麻痺

阻血性拘縮に留意

A 橈骨単独骨折

a.概要

若木骨折 小児の骨膜厚くて丈夫不全骨折・骨膜下骨折

形状により若木骨折→25度まで許容範囲

竹節状骨折整復不要

b.発生機序

小児転倒時の介達外力若木骨折

成人転落・交通事故の直達外力横骨折・粉砕骨折

転倒時の介達外力斜骨折

c.骨片転位

 

近位骨片

遠位骨片

円回内筋付着部より近位

回外・屈曲位

(上腕ニ頭筋・回外筋)

回内位

(円回内筋・方形回内筋)

円回内筋付着部より遠位

中間位

(拮抗筋の作用により)

回内位

(方形回内筋)

d.症状

変形陥凹の触知(X−Pで)

腫脹橈側に出現(若木骨折びまん性)

限局性圧痛

前腕回旋障害(回外不能)

異常可動性・軋轢音

e.整復法

 患者

術者

背臥位

肘関節直角屈曲

 

手関節を把持し末梢牽引しながら前腕回外位

十分な牽引のもと骨折端を圧迫

前腕回外位、直角屈曲で固定

f.固定法

 

円回内筋付着部より近位

円回内筋付着部より遠位

固定

前腕回外位・肘直角屈曲

前腕中間位・肘直角屈曲

小児 4−5W

成人 6−8W

ガレアジ骨折(逆モンテギア)

a.概要

整復固定の難しい骨折観血

発生は稀

成人に発生(横骨折か軽い斜骨折)小児にはない

橈骨骨幹部中・下1/3境界部付近の骨折+遠位橈尺関節部での尺骨脱臼(多くは背側)

d.症状

患肢短縮(腕橈骨筋が茎状突起につく為)

近位骨片の尺骨転位(方形回内筋による)

自重で掌屈(尺骨の突出)

骨間膜の損傷靱帯のゆるみ不安定な遠位橈尺関節

尺骨神経損傷

B 尺骨単独骨折

a.概要

直達外力 

遠位1/2部

年齢広範囲

b.発生機序

主に直達外力 肘関節屈曲+回内位で強打

例:バット等強打・打撃等を前腕でカバー

c.骨片転位

横骨折・斜骨折

遠位1/2部

d.症状

尺側の著明な腫脹(背側・後面)

限局性圧痛

機能障害(回旋制限)

変形

異常可動性

e.整復法

転位無 Suger tong plaster splint上腕中央部〜MPJ

転位有  注意事項

@生理的彎曲確保

A骨間腔保持

B末梢の循環障害

患者

助手・術者

術者

背臥位

肩外転

肘伸展

前腕回外位

肘関節屈曲

対牽引

骨間腔を保持しながら

尺骨を圧迫

f.固定法

肘 90度屈曲

中間位

小児 4−5W

成人 6−8W

モンテギア骨折(伸展型・屈曲型)

a.概要

尺骨骨幹部上・中1/3部骨折+橈骨脱臼

橈骨頭脱臼を見逃すことあり橈骨神経マヒ

伸展型

屈曲型

前外方凸(橈骨頭は前方脱臼)

頻度大(80%〜90%)

小児に多い

整復・固定困難

後方凸(橈骨頭は後方脱臼)

頻度小(10%〜20%)

成人に多い

整復・固定容易(保存OK

b.発生機序

伸展型

屈曲型

前腕回内位で転倒

過度回内骨折

    

橈骨輪状靱帯断裂脱臼

軽度屈曲(120°150°)で転倒

前腕回内位骨折

   靱帯損傷ない

橈骨頭は後方脱臼

c.骨折型

伸展型

屈曲型

前外方凸(橈骨頭は前方脱臼)

前腕軽度短縮

屈側に橈骨頭触知

圧迫による橈骨神経麻痺

後方凸(橈骨頭は後方脱臼)

前腕軽度短縮

 

 

e.整復法・固定法

尺骨の整復位保持困難 骨折の整復をしてから脱臼の整復

 

伸展型

屈曲型

整復

患者肘関節90°屈曲+前腕回外位

   対牽引

術者遠位尺骨骨片を

引き上げるように背側に

圧迫し近位に合わせる

次に橈骨頭を後内方に

強く押し込み整復

患者肘関節進展位+前腕回外位

   対牽引

術者後方に突出している

尺骨の屈曲転位頂点に

圧迫変形の修復と共に

脱臼も整復

固定

肘関節 鋭角屈曲

前腕回外位6〜8W

肘関節 軽度屈曲(伸展位)

前腕回外位6〜8W

f.予後

主に伸展型

橈骨頭の脱臼の残存

尺骨骨折の遷延治癒・偽関節

尺骨骨折の変形治癒(屈曲)

橈骨神経麻痺

両骨癒合(骨間)橋状仮骨

肘関節拘縮

C 橈骨尺骨両骨骨幹部骨折

a.概要

単独骨折より治癒困難・長期を要する

2骨の骨片転位を同時に完全整復は困難

整復位が得られても再転位しやすい(ギプス内で回内再転位)

強固な固定循環障害・患者の苦痛

遷延治癒・偽関節

前腕回旋障害(K型、X型の骨癒合)

長期固定による上肢ROMの制限

保存の範囲 小児(若木骨折・骨膜下骨折)

転位無の骨折

転位軽度の骨折

b.発生機序

直達外力

介達外力

横骨折・骨折面(鋭利な鋸歯状)

橈尺骨折同位

 

斜骨折横骨折・螺旋骨折

橈骨高位

骨折線様々(複数骨折・重複骨折)

若木骨折

c.骨片転位

幼少期若木骨折

遠位端の不全屈曲骨折が多い)

青壮年転位大 短縮・側方・捻転(回旋)

定型的転位

円回内筋付着より近位

円回内筋付着より遠位

角丸四角形吹き出し: 前腕部骨幹部骨折
に準じる

d.症状

単独骨折より著明・激甚

腫脹・皮下溢血

自発痛・圧痛・運動痛

異常可動性・軋轢音

前腕機能停止

変形(回旋・屈曲・短縮)開放性骨折

e.整復法

予めX-Pで骨折片状況を詳細に把握

保存適応が少ない(遠位1/3は比較的成功率が高い)

斜骨折は整復困難(特に橈骨)

一方が重複(複数)骨折は整復不能

患者 

術者

背臥位 肘関節90度屈曲位

回内筋付着より近位(上1/3

前腕回外位

円回内筋付着より遠位(中・下1/3

前腕中間位

十分な対牽引

牽引したまま両手指で圧迫し

骨折部を前後面から挟むように圧迫

骨間腔を開かせる

f.固定法

牽引をゆるめずにギブス

肘関節90度屈曲

前腕上1/3は完全回外位\

中・下1/3は中間位 回内位は×

ギブス包帯(基節骨を入れる。IPFree)の横断面は楕円骨間腔の開大

g.後療法

骨間腔の開大

再転位強い固定と阻血に留意

Wは再転位しやすい

Wでやや安定

骨癒合3〜6W

1/3→812W

その他→12W〜6M

h.後遺症 

変形治癒A偽関節B橋状(架橋)仮骨C遷延治癒D前腕回旋障害E阻血性拘縮

前腕骨遠位端部骨折

A コーレス骨折(伸展型骨折)

a.概要

頻度高い(10%)

性差骨粗鬆症の女性 

女>男(8:1)

年齢(広範囲)

高齢者嵌入骨折・粉砕骨折

小児 骨端線離開

竹節状・若木骨折

      

手関節の運動(回内位) (第3指中心)

背屈 0〜70° 尺屈 55°

掌屈 0〜90° 橈屈 25°

回内・回外 0〜90°

b.発生機序

介達外力が主(直達外力はショーファー骨折で関節内の骨折になる)

手関節 伸展・回内位で転倒

橈骨遠位端部に掌側凸の屈曲力

手関節から1〜3cm(関節外の骨折)

c.骨片転位

遠位骨片が橈側・背側・短縮・回外転位

銃剣状変形 背側転位著明 騎乗短縮

フォーク(背)状変形 橈側転位著明 

X-P正面・側面・斜面(関節面骨折の有無に有効)

d.症状

骨折線

橈骨 

正面:掌側から斜め背側上方に入る

側面:橈側近位から斜め尺側遠位に入る

変形

フォーク状変形(騎乗転位)

銃剣状変形(尺骨頭突出)

腫脹著明(指輪をはずす)骨髄・軟部組織からの出血

限局性圧痛、介達通

前腕の運動制限 回外運動

手関節の運動制限 握力

母指の対立運動障害

e.整復法

 

患者

助手

術者

直圧法

(軽い転位)

臥位又は座位

肘関節90度

前腕回内位

橈骨長軸方向

に対牽引

短縮除去

橈骨遠位を

側方より圧迫

(手関節尺屈)

側方

両母指で遠位を掌屈と同時に

両示指を近位掌側から背側へ 

円を描くように尺屈する

屈曲法

(転位高度)

遠位を橈側から尺側

(軸を合わせる)

骨折部に過伸展(軽く牽引しながら)

遠位を抹消に圧迫短縮転位除去

骨折端が合ったら掌屈

円を描くように尺屈する

f.固定法

肘 90度屈曲

前腕回内位

手関節掌屈・尺屈(軽度)4〜5Wで骨癒合

g.後療法 

1〜10日は再転位しやすい

運動療法肩・肘・指(拘縮予防)三角巾

6〜12Wで治癒

h.合併症

尺骨亜脱臼

TFCC 

茎状突起剥離骨折 60%(20%)

手根骨骨折(舟状骨)脱臼(月状骨)

上腕骨下端部骨折(顆上)に橈骨頚部骨折(小児)

上腕骨外科頚骨折(高齢者)

長母指伸筋腱断裂リスター結節

正中神経麻痺手根管症候群(一過性)

下橈尺関節円板損傷・外傷性関節炎

変形治癒(易疲労性握力低下)・

関節拘縮(指・肘・肩)

骨端線損傷による成長障害

前腕回旋障害

ズディック骨萎縮

角丸四角形吹き出し: 反射性
交感性異常養症
強い疼痛
手の知覚過敏
発汗過多
紅斑
血管の萎縮

骨端線離開小児の橈骨下端骨折

骨端線→1417才で閉鎖

幼児 圧潰骨折(5才位まで)横骨折(骨が弾力性に富む・骨膜が厚い)

      若木骨折(610才)骨端付近で屈曲

思春期骨端付近で多少の転位を伴う(コーレス・スミス骨折)

S/H(ソルターハリスの分類) T・U型が多い

S/H X成長障害を起こす1〜2MごとにX-P、6ヶ月の経過観察

B スミス骨折(屈曲型)

a.概要

                            

  稀

若年者に多い

コーレス骨折より予後が悪い

X-P側面像で確認できる

 

b.発生機序

手関節 回内・掌屈位で手を衝く

自転車のハンドル持ったまま・箱を抱えたまま 

 で転倒 背側凸の屈曲力

c.骨片転位

遠位骨片掌側・橈側・短縮・捻転(回内)

(老人は粉砕骨折のこともある)

d.症状

鋤型変形 掌側転位著明 騎乗短縮

橈骨下端の圧痛

骨折線(背側から掌側の上方に入る)

幅・厚さ増大

e.整復法

回外牽引尺屈(第2指point

*橈骨動脈、正中神経の圧迫に注意

f.固定法

回外位・背屈位・尺屈

4〜5W

MPJ→肘関節までの固定

g.後療法

再転位に注意

h.合併症

正中神経損傷

C 辺縁部骨折

a.掌側バートン骨折(スミス骨折T型)

       

背側位では骨折不安定(月状骨が掌側へ脱臼)

<整復法>

月状骨を橈骨背側面に圧し

掌屈、回内又は中間位スミスと反対

b.背側バートン骨折

 

コーレスと反対の整復

<整復法>

コーレスと反対の整復

月状骨を橈骨掌側面に圧し背屈・回外位

c.ショーファー骨折

                         

橈骨の橈側関節面の骨折

遠位骨片と共に手根部の外側亜脱臼

 

 

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